論文

ZIPな動物

Zero Infrated な分布をする動物にはどんなのがいるだろうか?
まず、考えられるのは、数が少ない希少種。探してもなかなか見つからなければ、0ばかりが並び、Zero Infratedになるだろう。
あと、遠洋研のPDFでは、混穫ってのも挙げられている。

他にもなにかないかと考えると意外と身近にそんな動物たちがいる。
全体から見ればたくさんいて、多様だけど、非常に分布の偏りが大きい動物群集。
別名貧者の熱帯林。土壌動物群集だ。

ちょうど、土壌動物学の国際誌であるPedobiologiaにそんな論文が出版された。
The excess-zero problem in soil animal count data and choice of appropriate models for statistical inference Volume 52, Issue 1, 30 June 2008, Pages 1-17

この論文では、ザンビアのMiomboとAgroforestryで土壌動物を採ったデータを用いて、その動物たちがどんな分布をしているかを、
log変換して最小二乗法(Ordinary least squares regression)、線形混合モデル(Linear Mixed Model)、ポアソンモデル(Poisson)、擬似ポアソンモデル(Poisson with correction for Overdispersion←quasi-likelihoodをつかうやつ)、負の二項分布(Negative Binomial)、ZIP(Zero Inflated Poisson)、ZINB(Zero Inflated Negative Binomial)で比べてAICcとBICで当てはまりを調べている。

MiomboとAgroforestryでそれぞれ、ミミズ、ヤスデ、ムカデ、甲虫、アリ、シロアリの数を調べた結果、
MiomboのミミズとAgroforestryのヤスデ以外はみんな負の二項分布が一番あてはまりがよく、MiomboのミミズはZIP、AgroforestryのヤスデがZINBに当てはまっていた。

という内容です。

やはり土壌動物はポアソンにはあまり当てはまらなくて、負の二項分布の方が当てはまりがいいわけね。
これは、自分の解析の経験と一致する。

ZIP、ZINBなどは、大別した分類群ごとではなりにくいけど、種ごと(特にササラダニとかトビムシ)になると結構この分布に従うものがいるのではないかな。

あと論文の中では、それぞれの確率分布で説明変数のP値や信頼区間がどう変わるかとか推して測るべしな内容が述べられています。

最終的ににこの論文の言いたいことは、
「土壌動物はヘテロに分布するから変数変換&ANOVAやノンパラじゃだめですよ」
ということです。

惜しむらくは、この論文はSASを使って解析をしている。
Appendixでご丁寧にSASコードまで載せている。
これがRコードだったらもっとおもしろかったのになあと思います。

個人的には、なにか適当にいいデータがあれば、同じようなことをRでやってEdaphologiaに日本語で投稿したら載るんじゃないかと思ってしまった。

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